2018年5月1日火曜日

Oculus、没入型VRシアターの実現を目指す

 世界中の至る所にいるユーザーは、仮想現実(VR)ヘッドセットを装着することによって共通の仮想世界に集められる。その世界の中を移動していると、VRの世界で以前会ったことのあるアバターとは異なるキャラクターが近づいてくる。そのキャラクターは、同じ部屋にいる人であるかのように反応するが、現実世界の生き物ではない。ユーザーの周りに映し出される作られた世界と同様、糸で縫い合わされたようなものだ。そのキャラクターについていくと、他にはない旅の可能性が解き放たれる。

 事前にプログラムされたアバターとは異なり、これらのキャラクターを演じるのはすべて、訓練を受けた生身の俳優だ。遠く離れたモーションキャプチャのステージ上で、ユーザーは俳優にリードされて、まったく同じストーリーをたどることは決してないパフォーマンスを展開していく。

 FacebookのVR部門であるOculusでエクスペリエンスのエグゼクティブプロデューサーを務めるYelena Rachitsky氏はこれを、ビデオゲーム「風ノ旅ビト」と体験型シアター「Sleep No More」を融合したものと表現した。2019年のリリースが暫定的に予定されているこのプロジェクトは、生身の俳優を導入することによって、現時点で最もエキサイティングなVR体験の一部をさらに多くのユーザーに提供することを試みる、VRの新しいフォーマットを創造するものだ。

Rachitsky氏は、映画「Coco」をベースとしたPixar初のVR体験を構築するのにも貢献した。

提供:James Martin/CNET

 「特定の場所に行くことなく、生身の俳優が演じる空間をどのようにして作り上げるかということに、われわれは大きな関心を抱いている」とRachitsky氏は4月、トライベッカ映画祭の前にインタビューで語った。「これは規模を拡大するための手段だ」(Rachitsky氏)

「Draw Me Close」の中で、モーションキャプチャ用スーツを着た俳優が、VRでの交流を体験する視聴者と抱き合う様子

提供:Ron Antonelli for NFB and National Theatre

 VRで没入型シアターを構築するというアイデアは、ハイテク業界で注目を集める動きの1つで、GoogleやFacebookなどの大手企業が多額の資金を投じて進めている。Facebookは、米国時間5月1日に開幕する開発者会議「F8」で、新しいVRハードウェアを発表するとみられている。VRは高い注目を集めているにもかかわらず、これまでのところは広く普及しているとはいえない。馴染みのないそのフォーマットを試したいと思わせるだけの、どうしても体験したいようなエクスペリエンスがないために、数百ドルを投じて高性能コンピュータやFacebookの「Oculus Rift」などのハイエンドヘッドセットを購入することを、消費者はためらう状態にある。

 しかし、Oculusの実験的な没入型の演劇は、初期段階とはいえ、複数の有望な要素を兼ね備えている。VR採用シアターというトレンドに基づいているということと、没入型シアターの人気上昇の波に乗れる可能性があるということだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。



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